「アーロンチェアが中古なら5万円で買える」——この話に乗る前に、確認すべき消耗部品が3つあります。ここを外すと、安く買ったつもりが修理費で新品との差額が消えます。逆に、この3点が押さえられている中古は買いです。
結論:中古で確認すべき3点
- ガスシリンダー(座面が勝手に下がる原因)
- 座面ウレタンのへたり(見た目では分からない)
- PUレザーの加水分解(残り寿命が読める)
1. ガスシリンダー:中古で一番多い故障
座面の高さを調整している筒です。中にガスが封入されていて、レバーで昇降します。ここが抜けると、座った瞬間に一番下までゆっくり沈むという症状が出ます。座り心地の問題ではなく、使えません。
厄介なのは、買った直後は問題なく、数週間〜数か月で出てくることがある点です。中古品の短い保証期間を過ぎてから発症する、という順番になりがちです。
交換部品自体は3,000〜8,000円程度で手に入りますが、固着していると外れません。プーリー抜き工具が要ることもあり、自分でやるなら道具代が別途かかります。業者に頼むと工賃込みで1〜2万円が目安です。
確認方法:実物を見られるなら、一番上まで上げて座り、3分待つ。少しでも沈むなら避けてください。通販で見られない場合は、「ガスシリンダー交換済み」と明記されている出品を選ぶのが確実です。
2. 座面ウレタン:写真では絶対に分からない
座面のクッション材は、体重がかかり続けることで潰れて戻らなくなります。表面の生地がきれいでも、中身は別です。オフィスチェアの中古で「見た目がきれいなのに座ると底つきする」のは、ほぼこれです。
法人のリース戻り品は、1日8時間×数年という使われ方をしています。年数だけでなく、どういう使われ方をしたかが効きます。同じ5年落ちでも、会議室にあった椅子と、コールセンターにあった椅子ではまったく違います。
確認方法:実物なら座って、お尻の骨(坐骨)が硬いものに当たる感覚があるか。あれば底つきしています。張り替えは1〜3万円かかるので、その時点で中古の価格優位は消えます。
なおメッシュ座面のモデルは、この問題が起きにくいです。中古を狙うならメッシュ座面のほうがリスクが低い、というのは覚えておく価値があります。
3. PUレザー:残り寿命が計算できる
合皮は使用の有無にかかわらず、空気中の水分で分解していきます。おおむね製造から3〜5年で表面がベタつき、そこから剥がれ始めます。
つまり3年落ちのPUレザーの中古は、残り寿命がほとんどありません。ここは年数がそのまま判断材料になるので、逆に言えば読みやすい項目です。
中古を買うなら、素材はメッシュかファブリック。PUレザーの中古は、価格が相当に安くない限り避けたほうが計算が合います。
それでも中古が有利になるケース
ここまで否定的に書きましたが、中古が明確に得な場合があります。
高級モデルの、整備済み・保証付き
10〜20万円クラスのモデルは、そもそも骨格の設計寿命が長く、消耗部品を交換すれば使い続けられる前提で作られています。専門業者が整備して保証を付けた個体なら、上の3点はクリアされています。新品の半額以下で買えるなら、これは合理的です。
逆に言うと、「整備なし・保証なし・現状渡し」の高級モデルは、部品代を自分で払う前提の買い物です。そこまで含めた総額で比べてください。
短期間しか使わないと決まっている
数か月のプロジェクトや、引っ越しまでのつなぎなら、寿命を気にする必要がありません。
チェックリスト
| 確認項目 | 危険なサイン |
|---|---|
| ガスシリンダー | 座って沈む/「現状渡し」で記載なし |
| 座面 | 座ると骨が当たる/PUレザーで3年以上経過 |
| 素材 | PUレザー(メッシュ・ファブリックが安全) |
| キャスター | 削れて転がりが重い(交換は安いので許容範囲) |
| リクライニングのロック | 効かない/ガタつく(内部機構の故障は高い) |
| 保証 | 無し、または30日未満 |
キャスターだけは例外で、部品が数百円〜数千円と安く、工具なしで差し替えられます。「キャスターが削れている」は減点材料にしなくていい項目です。
まとめ
- 中古の失敗はほぼガスシリンダー・座面ウレタン・PUレザーの3点に集中する
- ガスシリンダーは保証切れの後に発症することがあるので、交換済み表記を優先
- 座面のへたりは写真では分からない。メッシュ座面のほうが中古リスクが低い
- PUレザーの中古は残り寿命が短い。年数で判断できる
- 買うなら整備済み・保証付きの高級モデル。現状渡しは部品代込みで比較する
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